村上春樹 本

村上春樹の主な人気本の評価・感想を集めてみました。村上春樹の本を読みたいと思いましたら寄ってみて下さい。
主な作品は、新刊の1Q84やノルウェイの森、海辺のカフカなどがあります。

村上春樹の本は肯定評価も多ければ批判的評価も多いのが事実です。但し、最終的に評価をするのはあなた自身です。ここで掲載した評価・感想を読んだ上で本当の村上ファンになって下さい。ちなみに私の好きな作品は、1Q84、ノルウェイの森、海辺のカフカ等です。

村上春樹 新刊 1Q84 BOOK2の評価@

※注意事項: コメントの中には、作品の内容に触れている箇所もあるので内容を知りたくない方は、読まないで下さい。

評価 :★★★★★
痛烈な皮肉としての小説あるいは諦め
誰もがいろいろな形で楽しめるエンターテイメントでありながら、その奥底にあるに村上春樹の思いは”自己内省力、自己批判力のない浅はかな人々に対する批判”であることは箇所箇所で読みことができます。小説の中で何度と繰り返される決定的な文章”説明されなければ分からないということは、つまりそれは説明してもわからない”というくだりです。この文章は一読、「物語は自由に解釈してもいいのだ(この小説もね)」「言葉で伝えることのできることは限られているんだよ」「もっと感覚を解放して生きよう」などと読み取ることができます。しかし、これはおそらく公、村上春樹としての最大限の皮肉であり批判であり軽蔑であると思われます。しかしそれは言葉として公に許されるものではありません。そうすることは数多くのターゲットからのパッシングを余儀なくされるからです。伝えたいのに伝えられない。孤独は限界に達します。そしてついにそれを『言葉にして言葉でないところに訴えかける』ことに成功します。洗練された文章と卓抜な比喩力を用いて。物語という言い訳を施しながら。昔から伝わらなさへの苛立はあったと思います。過去の作品を読めばそれを伝える為の努力が読み取れます。そして今回、それはほぼ完璧な形として作品として世に問うことになったのだと思います。
批判を支持にかえる。
否定を肯定にかえる。
その技術と圧倒的な才能。

ただ感服です。


評価 :★★★★★
そこにある特別な何かを感じることができる
そこに、言葉にすることの難しい特別な何かを感じることができます。 他の文章の書き手と、明らかに何かが違います。 電車で読んでいて、物語に引き込まれ、2回ほど乗り過ごしました。

評価 :★★★★★
性的描写の多い純愛小説
性的描写はbook1の方が多く、後になるほど純愛度が増しています。2人の主人公は関係性が段々と強くなっていき、リンクしていきます。 しかし、最後はとても切ない。 読み終わった後、ちょっとした疲労感がありました。しかし癖になる!もう一度読み返してみたいと思う作品です。

評価 :★★★☆☆
「世界の終わり?」は超えていない
BOOK1ではそれほどの強さを感じなかったものの、BOOK2で一気に引きつけられる感覚。「世界の終わり?」は超えていないと判断したい。「ねじまき鳥?」も超えていないと判断したい。 但し、最後の最後、主人公が療養所に出かけていく場面から終末までは村上春樹キター!!という感じです。

評価 :★★★☆☆
What a nostalgic love story!
性的な描写はいつも通り生々しく、かつ頻繁に登場します。社会や組織に対する批判、とりわけ宗教的なものに対する批判は、より具体的です。にもかかわらず、この小説は村上春樹の作品の中で、最も『恋愛小説度』が高いと感じました。初恋の相手に対する純粋な愛の深さは、とても印象的です。「初恋」に対するノスタルジアは、この作品の大きな魅力の一つと言えるでしょう。

評価 :★★★★★
緊張感がずっと続く
超一流の職人が精魂こめて仕上げた工芸品に触れている、みたいな緊張感を感じました。ほっとしたり笑ったりする場面があまりない作品である、ということも理由のひとつかもしれません。始めはリアリズムの小説なのかな?と思いましたが、読み進めるうち「おおー違った違った」となりました。当たり前の視点を離れて特別な角度から世界をのぞかせてもらえるのは嬉しいことです。意外なことに、読後は以前の作品よりメッセージがわかりやすいと感じました。できるだけ長く楽しめるようにゆっくりゆっくり読んだけれど、3日でとうとう読了。残りページが少なくなるのが悲しかったです。あらすじを追ってハイ終わり、という本ではまったくないです。密度がすごいし。精神的、時間的に余裕があるときの読書をお薦めします。

評価 :★★★★★
非常に村上春樹的な殺人者に、ゴーストライター。エンターテインメントに溢れた「1」はページを繰る手が止まらず、面白く読めた。そして、それらが繋がっていく「2」は難解。文学賞への批判、宗教への畏怖など感じられるが、その根底には、初恋への思慕が流れていた。いつもの文体で彩られた長編は、やはり村上春樹という感じがした。いろいろなことへの疑問が、すべて消化しきれていないので、続編があるかも、と思われてしまうのだが、これ以上、説明をされても、という気もしてしまうのだ。

評価 :★★★★★
稀代の作者と同時代に生まれたことに感謝したい
村上春樹の集大成といえる作品ではないでしょうか。作者の、人に、家族に、愛する人に対するあたたかい愛が伝わってきて、私のコアの部分が揺さぶられて、Book2の終盤、涙が止まりませんでした。人が人を想うこと。誠実に覚悟を決めて人を想うこと。この作品が与えてくれたあたたかさを胸に、この現実の2009年を生きていけそうです。

村上春樹 新刊 1Q84 BOOK2の評価A

評価 :★★★★★
究極のテーマ
この誰もが悩み苦しむ問題に、温かい結論を出してくれている。
リトル・ピープル
空気さなぎ
春樹さん独特のメタファが、読み解きやすくなったように感じました。
ただ。始まりが読みづらかったので、最後からさかのぼって読んだりしました。
色々な読み方をしても大丈夫だと思います。

私はbook2の、天吾がパジャマのにおいを嗅いでしまうシーンが、ぶはっ(笑!)となって好きでした。

評価 :★★★★★
村上さん、book3は書かないでください
必要な事は全て書かれている。あるいは書かれ過ぎている。理解出来ないものを批判するのは簡単で、ある場合においては快感にもなるが、それはとても醜い。説明しなくてはわからないということは、説明してもわからないということだ。この本は作家であり、また一人の人間である村上春樹の最高傑作である。

評価 :★★★★★
愛に関する光と影の均衡
天吾と青豆が離れ離れでいてもお互いを求めあっていたことが光。その反作用としての影が愛のない性交。均衡は保たれていたのだろうか。だとしても誰のために?

評価 :★★★★☆
パラレル・ワールドの新しい世界
上下2巻本ではなく、BOOK1・BOOK2という編成である事から考えても、またBOOK2の終わり方が「なんでやねん!」って感じであったから、これは今後何年かのち、近い将来にBOOK3・BOOK4・・・・・と続いてゆくであろうことが窺い知れる。首都高速・三軒茶屋付近の非常階段を、惜しげもなくミニスカを翻して降りるという非日常的なことをすると、「そのあとの日常の風景がいつもとは少し違って見えてくるのかもしれません」というタクシーの運転手のものの見方は正しかった。「でも見かけにだまされないように、現実というのは常にひとつきりです」という忠告までは重視しなかった。それがために、結局、いつも元気な青豆さんは川奈天吾クンと会うことが出来なかった・・・・・。高円寺の夜の公園まで一緒だったのに、ああ、じれったい。青豆さんは1Q84年の世界に、天吾クンは11984年の世界にいるのだから・・・・・。パラレル・ワールドを近過去という新しい設定、それもジョージ・オーウェル先生の設定した1984年という今となっては近過去を想定しているのが、非常に興味深い。実際のところストーリー自体は面白いが、文学として成功したかどうかは、本シリーズが完結したときに正しい評価がされることになろう。まだ1と2が始まったばかりなのだ。

評価 :★★★★☆
村上ファンにとってはうれしい作品
いい意味でも悪い意味でもファンの期待を裏切らない作品だと思います。ここのところの作品がどちらかというとナゾ賭け的な要素が強く、初期の作品のように純粋に楽しめない要素が強かったのですが、この作品はそんな要素を残しながらも、比較的初期の作品の空気感があるように思います。とはいってもはやり最後は喪失感で終わり、読了後にすっきりしない後味を感じます。今回のような作品もすきなのですが、初期のころからのファンとしては、「羊をめぐる冒険」や「ハードボイルドワンダーランド」のようにとりあえず「終わったんだ」感を感じさせてほしいです。Book2で終わっていますが、もしかして続編があるのかと思ってしまう作品です。

評価 :★★★☆☆
終わり方が・・・。
1・2と息つく暇もなくむさぼるように読みました。ただ、2の最後1/4ころから最後にかけてが難解です。どう解釈すればいいのでしょうか・・・。希望はあるのでしょうか。この本にいたっては、すべての登場人物が、あまりにも現実離れしてます。でも一気に最後まで読みました。2日間頭が村上ワールドでした。

評価 :★★★★☆
結びつく過去,明るくない未来
25年前を想定した社会での出来事は,その20年前からの出来事を交差して終焉を迎える。何とも言えない世界が広がっている。あり得そうな語りは,あり得ない世界を描いているのだ。絶望まではいかないけれども,希望は少ない。決して明るくはない未来が何とか続いているのが希望なのだろう。

評価 :★★★★★
新作LPにどきどきしながら針を下ろすあの感覚
これまでの村上春樹小説とは、はっきり違っている。細かなことはおいておいて、まずパッと目につくのは、非常に説明的に物語を展開していることである(謎めいたメタファーはもちろんあるが、ぎりぎりまで絞り込まれている)。これは、いずれ翻訳によって日本語圏以外の多くの人にも読まれることを織り込んでのことかもしれない。村上春樹氏の辿ってきた道のりや考えが、くっきりわかる小説といえる。説明的といったが、決して詰らないわけではない。ページターナーとしての技術は着実に上がっている。古くからの読者はもちろん、村上ワールドに初めて親しむ読む読者も、奇抜なストーリーを十分に楽しむことができるだろう。
この小説で表明されている村上春樹氏の考え(と私が感じたもの)を2つあげてみる。

1.10代のときの決定的な出会いが何よりも大切である。
 今までの小説にも、繰り返し繰り返し現れていたテーマだが、今回の小説を通じて、もう一度それが表明されている。偶然の、でも決定的な出会いが人生にはある。それを肯定する。青豆にとっての天悟、天悟にとっての青豆。
 これは作者村上春樹さんの人生に必ず対応する経験があるはずだが、その伝記的な事実が問題ではない。そこから発せられているメッセージが何より本質的なものである。同じ匂いをもった者との同志的な出会い、とも言えるかもしれない。
 ずっと読んでいる読者には『1973年のピンボール』の直子の直系として、青豆さんを捉えることができる。青豆さんが最後に選んだ行動が強く肯定されているところも注意を惹く。

2.意識の下へ降りること
作品の冒頭、主人公の青豆さんが首都高から非常階段で下りていく。思えば、村上小説の主人公たちは常に下に降りていくことを繰り返していた。『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』しかり、『ねじまき鳥クロニクル』しかり。下へ降りること、そして深く眠ること。これらの行為を通じて、主人公たちは自分にとって本質的なものを受け取ることができる。この信憑を共有できるかどうかが、村上小説を受け入れることができるかどうかの分かれ目だ。

評価 :★★★★★
なんて切なく美しいシーンだろう
暴力と死に満ちたこの作品にあって、村上春樹の全作品の中でも屈指のとても美しい場面が描かれている。主人公の二人が、お互いのことをそれぞれ想うシーンだ。「これが王国なのだ」「僕は必ず君を見つける」まるで暗闇から光輝く大聖堂が浮かび上がってくるように、孤独な二人の愛に荘厳ささえ感じた。
過酷な人生を過ごす中で多くの大切なものを失ってきた彼らだからこそ、最後まで守り抜いたその気持ちが、あんなにも美しく見えるのだろう。システムの圧倒的な力に対して、個人の力はあまりに弱いが、彼らの深い愛はきっと何かを変えるはず。現実の厳しさを容赦なく描く村上春樹だけに、彼らの未来は決して平坦な道ではないだろうが、その先には他の小説とは比較にならない深い感動があるだろう。たとえ後味の良いハッピーエンドではないとしても。
3巻以降の展開がとても楽しみだ。

評価 :★★★☆☆
パラレルワールドときめきエロゲー(教祖様モノ)
前作は非常に箱庭的な世界で作者が悪意を操作しているみたいな感じだったが、今回は悪意の所在がリアルであり、しかもその方法もかなり具体的なのでトリック感みたいなものは薄い。あと女性が男を性欲のためのみに使用しあとはほとんど交わらないフェミニストというのも新しいのか?この人的には

評価 :★★☆☆☆
進歩なし
結論を先に言うと、以前から村上春樹の作品が好きなファンにとっては、非常に満足できる意欲作かもしれないが、以前から村上春樹を評価していない人、見切りをつけている人は、新たに読む必要はないかもしれない。作風やテーマは変化しても、その根底にある著者の思想というか価値観は変わっていない。根底が変わっていないため、前編は、新しい芽のような変化が見られて面白かったのだが、後編は、ストーリー展開が結局いつもと同じパターンになってしまっている。いつもと同じパターンとは、
1)主人公の男性が、才能はあるがそれを形にすることができない少女の登場をきっかけに、現実とは異なる世界に巻き込まれていく。
2)主人公の女性も登場する。この二人の物語が同時進行して交差する。現実の世界と、そうではない世界の境界をさまよい、時間と空間を超えて邂逅する主人公の男女。純粋な恋愛。ここに魅かれる読者は多いだろう。
3)周囲の登場人物たちが姿を消し、「失われ」ていく。主人公の女性も、自己犠牲によって、周辺的な、「失われ」ていく立場に移行する。しかし、主人公の男性は、ちゃっかり安全なポジションにいて、物語の軸となっていく。

村上春樹は文章が上手く、作家として読ませる力があるので、つい作品を読み進んでしまうのだが、そこに表出する思想や価値観が、保守的で古臭い
ので、読了後、空しくなることが多い。もう当分読むつもりはないが、次の作品に期待したい。

評価 :★★★★☆
決して『救われる』物語ではない
海辺のカフカやアフターダークもそうでしたが、まず『世界の不条理』が示され、物語がすすむにつれて『実存の不条理』へと移行していきます。
まだ続きの物語がありそうなので、今の時点での評価は避けますが、今後の期待も込めて星4つ。

評価 :★★★★★
世界標準
これまでの村上春樹さんの小説やエッセイ、インタビューの中から、色々なモチーフが集約されていると感じた。それらのモチーフを統合して、一つのとても大きな物語になっている。そして、この物語は今まで読んだことのない、まったく新しい物語であることは間違いない。似ていたり比較できるような小説も、映画も音楽も思い浮かばない。フィクションなのか、ノンフィクションなのかも判然としない。様々な言語に翻訳され、世界中の違った歴史と文化を持った人達に読まれるようになった時、社会現象どころか世界現象を起こすような可能性と多様性をこの小説は持っていると思う。オープンエンドになっており、今のところ続きがあるのかわからないが、この1、2だけでも充分楽しめる。この物語の続きを想像したり等して。


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